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更生保護施設「上弁財荘」 社会復帰を手助け心の栄養補給が必要なんです![]() 入所者を前に教養講話を行う中尾さん
先月末、1人の男性がふらりと施設に立ち寄った。「ちょっと前を通りかかって。毎日カミさんのおいしい手料理食べて、まじめに働いてますわ」。男性はぺこりと頭を下げると、さっときびすを返して仕事場に向かった。県内唯一の更生保護施設「上弁財(かみべざい)荘」(津市上弁財町)で施設長を務める保護司中尾秀晴さん(66)は、穏やかな笑みを浮かべ、その後ろ姿を見送った。 刑務所から出所した人や、保護観察中の少年らの社会復帰を手助けする上弁財荘では、現在、保護司4人を含むスタッフ7人が働き、15人の成人男性が生活している。中尾さんは「社会復帰した人間が、こうしてお礼を言いに来てくれることが一番うれしい」と、目尻にしわを寄せる。 中尾さんは40年近く、愛知、岐阜、三重各県の刑務所に勤務し、保安、教育担当などを歴任、多くの受刑者と真正面から向き合ってきた。だからこそ、ここに身を寄せる人たちの気持ちが分かる。「幼少期に、十分な愛情を受けられずに育った人間が圧倒的に多い。心の栄養補給が必要な人たちなんです」 ![]() 中尾さん
上弁財荘の朝は早い。入所者は午前6時に起床し、施設内の掃除をする。施設調理係の山本春代さん(45)の愛情こもった手作り朝ごはんをたいらげ、出所者の雇用受け入れを積極的に行っている「協力雇用主」のもとに向かい、丸1日、土木作業などに汗を流す。 施設で働く保護司の名嘉真朝三さん(56)は、「雇用主の社長が父親、奥さんが母親代わりとなって、出所者に愛情を注いでくれる。自分への信頼を感じることが、更生への第一歩」と、言葉に力を込める。 施設の一大イベントは、毎年正月に開催されるもちつき大会だ。近所の子どもたちやお年寄りを巻き込んで、交流を深める。7月には、もちつきのほか、刑務所作業製品の展示や即売を行う「上弁財荘祭り」を開く予定だ。「施設は住宅街の真ん中にあり、こうした仕事は何よりまず地域の理解が必要。積極的に交流して更生保護施設とは何かを知ってほしい」。入所者の社会復帰とともに、更生保護の現状を広く伝えることも、中尾さんの大切な役割だ。 (田中宏幸) (2008年5月26日 読売新聞)
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