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未来にツケ残さぬ責任


「阪神」被災 西宮市議・今村岳司さん

政策実現 こだわるプロに


学生たちと一緒に政治活動費の集計作業をする今村議員(中央)(2日、兵庫県西宮市で)=小川翼撮影

 統一地方選前半戦の投開票が10日に迫った。未曽有の災禍を免れた地方には何ができ、政治家は何をなすべきか――。自らの被災経験などを原点に、政治活動を続ける議員らに思いを聞く。

 「一隅を照らす、これすなわち国の宝なり」。平安時代の名僧・最澄は、それぞれの国民ができることを、誠実にやることの大切さを説いた。東北地方では今、大勢の人たちが懸命に自らの使命を果たしている。

 私には自衛官や消防士のような力はないが、48万人の西宮市民の期待を受け、闘う場所がある。震災のニュースに心を痛め、気をめいらせているのではなく、精いっぱい仕事をやり切ることが、プロの政治家としての責任だと思う。

 「反骨の26歳」。12年前に初当選した当時、各メディアにそう取り上げられた。「役者が台本を棒読みしているような議会じゃあ、眠くもなる」。物おじしない言動で議会内にも波紋を広げたが、なれ合いの政治にくみしない姿勢や行動力が評価され、3期連続で当選。この2年間は議会改革特別委員長も務めた。

 阪神大震災で家を失い、失意の底にいた時、危険を顧みず働く自衛官らの姿に胸を打たれ、「自分の人生を、日本と地域のために生きることに使おう」と政治家を志した。

 当時、政治家のイメージは「なれ合いばかりのダサい連中」。自分はそうなるまいと、市の財政事情や地方自治・議会の仕組みを必死に勉強した。一方で、政治を変えていく若い仲間を増やすため、大学生の議員就業体験を支援するNPO法人「ドットジェイピー」を設立。訪ねてきた全国の学生たちと、がむしゃらに議員活動に打ち込んだ。

 一貫して無所属。現在は保守系会派「にしのみや未来」の幹事長を務め、積極的に政策提案する。

 市長提案を追認するだけの議会は不要だと思っていたから、1期目から市の借金体質を追及し、議会のチェック機能を強化する条例改正案なども提案した。だが、私の会派は定数45議席のうちの7人。何を提案しても過半数を得られない現実に悩み、2期目中盤の半年ほどは、うつになった。

 ただ、議会政治とは誰かの意見が何でもまかり通るものではない。そう改めて気付いてからは、政策を一層丁寧につくり、議論を尽くそうと思うようになった。

 4選を目指す統一選後半戦が近づき、今年1〜3月には、市政報告チラシ(B4判)を5回にわたって作り、計100万枚を約20万の全世帯に配った。

 チラシでは市の厳しい財政を図解入りで示した。市が「地域のために」と金を注ぐ公立病院が、実は民間病院よりコスト高で、赤字を増長させることなどを指摘した。最も訴えたいのは、「未来にツケを残す無責任な態度を改めよう」ということ。たとえ、全市民から嫌われても、正しいことを言い続けるのが私の使命だ。

 日頃の政治活動を重視し、選挙期間中は、街頭に立ってもあえて支持を訴えず、「投票に行ってください」と呼びかけるだけ。

 「○○をタダにします」「○○を新設します」。そう言えば、人気者になれるかもしれない。しかし、阪神タイガースの監督がファン投票でスタメン選手を決めるだろうか。無名選手を起用し、結果が出ずに批判を浴びても、試合に勝つことを純粋に目指す。それがプロであり、政治家もそうあるべきだ。市民のニーズを吸い上げ、把握することは重要だが、地域のためになるかどうかは自分の責任で判断する。その上で、政策に練り上げて提案し、実現に向けて努力していくことが地方議員の役目だと思っている。


 38歳。兵庫県西宮市生まれ。京都大在学中に阪神大震災で被災。卒業後、「社会人経験を積むために」とリクルートへ入社したが、1年余で退職。1999年の統一地方選に無所属で初挑戦し、6157票を得てトップ当選した。


2011年4月7日  読売新聞)
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